DAM(Draw a Man test)はグッドイナフ.F.L.が1926年に発表した人物画による作業式の知能テストです。日本では昭和5年に桐原方式が発表されましたが、かなり期間を経過し、しつけや教育の仕方・内容・児童の発達や興味なども変化してきているので、今回新たに小林重雄(筑波大学名誉教授)と小野敬仁(東京都中央児童相談所)によって全面的な改訂・標準化が行われました。
★ 聴覚・言語・情緒の障害児童の知的水準の測定や、自閉症児やてんかん等の発達障害児についての診断・評価、慢性脳炎・脳微細損傷の児童の発見に役立ちます。また、ベンダー女史は心理諸検査へのウォーミングアップとして、最適な導入テストであると推奨しています。
★ 標準化は、通過率にもとづく項目の配列順の変更(項目数は一項目減の50項目)と、採点基準の設定を、2000名を超す被験者によって行いました。なお、桐原方式で問題となった男女間の有意差はこの小林・小野方式では認められませんでした。
★ ハンドブックでは項目毎の採点基準を、合格(+)・不合格(-)の図例により示し、年齢段階毎の発達モデルについても図示しました。記録用紙では項目毎に図解を入れ、採点ポイントの把握の迅速化と採点の能率化を計りました。
【再標準化 2017年】
時代の変遷に伴う描画傾向の変化に対応するために、2017年に1720名の児童の描画結果に基づいた再標準化が完成しました。
男女の結果に有意差が見られたため、男女別のMA換算表を準備しました。
採点項目は旧版と同じ50項目ですが、順番が変更されました。頭・眼・顔・胴・足・指などのパーツ毎に、体系的に採点を行うようになりました。