特長
社会自立の基礎となる社会適応スキルを評価する検査です。
全般的なスキルの発達、スキルの個人内差を把握し、指導・支援に生かします。
子どもの様子をよく知っている人(保護者や担任の先生)が回答します。
「基本版プロフィール」では、全検査スキルと4つのスキル(言語、日常生活、社会生活、対人関係)について、7段階の相対的位置や相当年齢を見ることができます。また、4つのスキルを構成する32の下位領域の発達が、平均以上であるかどうかがわかります。
「基本版プロフィール」の全検査スキルや4つのスキルに遅れが認められた場合、「臨床版プロフィール」を用いて、32の下位領域における個人内差を把握することができます。
すべての設問に回答する方式を採用しているため、項目レベルでスキルの獲得状況を確認できます。さらに、興味や経験の偏り、能力の個人内差などによって、独自の順序でスキルを身につけていく子どもの発達も把握しやすくなります。
教育現場、相談所、専門機関などで、対人関係や注意力、学力やことば、知的能力などの育ちに偏りや遅れのある子どもを理解するためのアセスメントとして役立ちます。

ASA旭出式社会適応スキル検査の出版に寄せて
東京大学名誉教授 肥田野 直
子どもの発達の評価に知能検査が果たす役割は古くから認識されているが、社会適応性尺度も近年ますます重要視されている。既に1930年代、ドールによって社会的成熟度の検査が作成されて以来、ヴァインランド適応行動尺度として改訂が重ねられている。われわれは1985年から2005年までに出版されたそのすべての版を検討し、新たにASA旭出式社会適応スキル検査を作成した。この検査では適応行動が4スキルに分けられ、同じ年齢集団内での相対評価がなされるほか、スキルを構成する下位領域については個人単位で長所・短所の個人内評価ができるようにプロフィールが描かれる。
本検査は、社会適応に不可欠な基礎的なスキルの評価を行うために用いられる。そのため、定型発達児の場合、幼稚園、小学校段階では個人間、個人内すべての評価に適しているが、中学、高校段階では天井効果の影響を受ける項目が多いことを念頭に置いて使うとよいであろう。
一方、特別支援教育の対象者は、幼児から高校生まですべての評価が可能である。これらの対象者については、個別指導計画の作成にあたり社会適応性の評価結果を活用していただきたい。
本検査が子どもや保護者、指導者に役立つものとなれば幸いである。