特長
自閉症・LD・ADHDなどの場面状況認知やソーシャルスキル獲得に困難を抱える子どもたちへの支援指導を念頭に作成した絵カードです。
●「身近な出来事の意味」や「場面・状況にふさわしい行動」、「相手の気持ち」等を学ぶことができ
ます。
●裏面には指導のヒントなどの簡単な説明が書かれています。
●幼年版は就学前、中高生版は中学生・高校生、他の絵カードは小学生を主な対象として作られ
ています。
このカードでのSSTの対象は、その場面の社会的状況を、カードの裏の上部のように捉えてしてしまう傾向のある子どもたちです。
これらの子どもたちは、情報の的確な関連づけができなかったり、注意を向ける力が弱かったりするために場面の社会的状況を読み間違ってしまい、その結果として一般的ではない判断や行動をしてしまうと考えられます。その一般的ではない判断や行動は、社会の中では非社会的、反社会的なものとして批判や非難を受けることにつながっていきます。 中には、場面を読んだり、適切な判断をしたりする力はあるのに、それとは違う不適切な行動を好んで選択しようとする子もいます。そのような子は、"他の指図は受けない。~するのは面倒。自分なんかどうなっても良い"と言った発言をするため、反抗的、厭世的、破滅的に見えます。
他者に関する事では適切な判断の力を見せるのに、自分のこととなると途端に"ともかく自分が一番。思い通りに事が進まないと不機嫌。人には厳しく自分に甘い"といった態度をとるので、傲慢・横柄に見られてしまう子もいます。
SSTの対象になるこれらの子一人ひとりの状態像が、発達起因なのか心理社会的要因なのかの判断は、ここでは求めません。原因のいかんを問わず、ソーシャルスキルの獲得に弱さがある子たちという捉え方をすることで、支援や指導のあり方が見えてくると考えます。勿論、結果的に同じような行動を見せているとしても、それぞれが違った情報の受け取りや処理をしていることへの配慮は不可欠ですが、発達障害であれ心理社会的要因であれ、認知の弱さや歪み、判断と行動の弱さといった共通項に着目するのです。
とはいえ、裏の説明文はあくまでも一般論の域を出るものではなく、すべての子が納得できるとは限りません。どうぞ一人ひとりに合わせアレンジしてお使い下さい。また、当然ながら、このカードの指導だけで、ソーシャルスキルが身に付くわけではありません。この絵カードのような場面での誤解や勘違いから結果的にトラブルを引き起こして困っている子たちが、場面理解や行動選択のヒントを得るという役割を担えればと思います。今後も、この絵カードをより実践的なものに改善していくことができるようにご意見やご要望をいただければ有り難いです。
(本文より抜粋)
【イラスト概要】
(1) 「先生のものではないから、先生には返さない」
(2) 「残っている! それなら、食べてしまおう!」
(3) 「何という名前なの?」「たくやだよ」
(4) 「ちがいます! 次の時間は体育です!」
(5) ここは乗り物(エレベーター)の中、バスの運転手さんが
「つめてください」と言っていたから、そうしよう。
(6) 「そこにすわるので、荷物をどけてください」
(7) 「こんなところいやだ!」
(意味がわからない/うるさい/へんなにおいがする)
(8) 「あいつが動いたのが悪い。ぼくは悪くないからあやまらない」
(9) 「こっちを見て何か言っている。きっとぼくの悪口だ。」
(10) 「ごはんを食べに行こう!」 「いやだ、おかずも食べたい!」
(11) 「上ぐつを持って帰ればいいんだね」
(12) 「3時31分だから、ぼく帰る」
(13) 「ぼく、そういうのは食べない主義なんです」
(14) 「間違えた。全部、消してしまおう!」
(15) 「こんなわからない問題を出す先生はひどい!」
(16) 「ぼく、もうこのおもちゃで遊ばない!」
(17) 「体育もできないようでは、教師の資格はありません」
(18) 「たおれたのは、お母さんのせいだ!」
(19) 「ぼく、荷物は持っていないんだけどな」
(20) 「今日は、花の水やり当番なんだ。」
(21) 「赤組が負けたのは、白組のおまえらのせいだ」
(22) 「誰だ、ぼくをなぐったのは?」
*この商品は一般の方でもご購入いただけます。